2013年12月31日火曜日

隙から振り返る 2013

今回は、いつも連載している都築響一さんの有料メールマガジン
『ROADSIDERS' weekly』 で2013年の総決算を書いたので
それをこの場に転載しつつ、リミックスしてお送りします。
写真57枚とボリュームたっぷりですが、いつもこういった感じで書いているということを
わかっていただきたく、ダウンロードに時間かかるかもですが、以下、よろしくお願いします。

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いよいよ年の瀬となりました。
今年9月より始まった『隙ある風景』もみなさんのおかげで無事年を越せそうです。
今回は、今年最後の記事ということで2013年を「隙」とともに振り返って行こうと思います。

元旦、家の近くの四天王寺へと初詣へ出かける。


親子二人のダウンジャケットから推測するに「もっと女にモテますように」と祈願したのであろうか。


空気はピリリと寒く、鼻水が垂れる。


境内には元旦から働かなくていいのではないか、と思えるどうでもいい店がいくつか出ている。
これはジャンク屋の商品「7人の小人セット」。下にはエロDVDがバラ売りされていた。


2日、父親が緊急入院する。正月早々えらいことである。
手術が終わるのを待合室でハラハラしながら待っていると冬休みの宿題を前にDSをしている少年がいる。
ついつい写真を撮る自分に「ああ、おれまだ元気かも」と思ったものである。(北千里 大阪)


父親の回復の祈願も兼ねて実家近くの神社へと参拝する。
「このコ、阪大やて。このコ、関大やわ」と絵馬に書いた合格祈願の学校名を
すべてチェックしている二人の参拝客。
参拝の甲斐あってか、父親の手術は無事終了した。(山田 大阪)


大阪の新年の風物詩、今宮戎へ。まるでSUBWAYでサンドイッチのトッピングを選ぶかのように、
金貨、小槌、俵などのめでたいアイテムを選び、それを福娘に笹につけてもらうのであるが、
指先を酷使しているのだろう、ほとんどの福娘は指先に絆創膏をしていた。


大阪で商売をする人の多くがここに商売繁盛を祈願しにやってくる。
商売人の切なる思いが封筒と賽銭額に現れている。


巨大な賽銭箱、もはや賽銭空間と化した場所へにどんどん投げ込まれるお金。
ぼくの身体もここに投げ込んで欲しかった。


1月中旬 四天王寺の冬の風物詩「どやどや」へ


ケツが悲鳴をあげている。


地元の高校生がふんどし姿になり、紅白に分かれてお札を奪い合う。


今年は白組が勝利した。スキンヘッドで毛皮のコート着たいかついお兄さんが
「きのう雨だったから中止になるかと思ってドキドキしたじゃない。あ~あ、今年もかわいかった」
と満足げに帰っていたのが、ふんどし姿の高校生と同じぐらいに印象的だった。


2月、岡山の西大寺はだか祭りへ。この冬は男のハダカばかり追いかけていた結果となった。


大阪にはアベノミクスはどこ吹く風。
阿倍野区であべのミックス焼きというお好み焼きが売られた程度の影響しかない。


ただただウィンドゥショッピングするしかない。(新世界 大阪)


自動販売機コーナーで、独り、
自販機では一切販売していない「白鶴まる」を飲むぐらいしかない。(梅田 大阪)


ズボンのストックもなく自分のズボンを脱がずして修理するしかない。(堂島 大阪)


春が来た。街路樹の新芽がおいしい季節だ。(千日前 大阪)


春の陽気に浮かれてか、お客がおつりを忘れて帰った。(野田 大阪)


汚いおっさんにもきれいなOLにも桜の花はすべての人間に平等に咲くのである。(西成 大阪)


5月、フジが満開の公園にて。おっさんがハトにエサをやっていると


おばはんが後ろからやってきてエサをやり、ハトはすべて横取りされた。(今里 大阪)


夏至近く、夜7時でもずいぶん明るい会社からの帰り道。プリウスから突然男が現れた。


国道2号線上、車と通勤客とホステスが行き交うキタのど真ん中での出来事であった。(梅田 大阪)


信号待ちをしている間に、男が薬局で買ったばかりのマムシドリンクを取り出した。


まずは1本を一気に飲む。


続いて2本目。信号を渡ったところで3本飲んだ。
それだけギンギンになってどこに行くのか、読者のご想像にお任せしたい。(難波 大阪)


値札を外すのを忘れるほどに日差しが強くなってきた。(天王寺 大阪)


夏到来。娘とビーチボールで遊んでいる横で男二人が懸命にナンパをしている。
写真は女にあしらわれた直後の悲しい背中だ。
男たちの獲物は左下、アクエリアスのボトルの向こうにいる。(近江八幡 滋賀)


四万十市では41℃という国内最高気温を観測するなど歴史的猛暑となった。
コンクリートばかりで緑が少ない大阪も極めて暑かった。(真田山 大阪)


風営法で大阪の夜は踊りづらくなっているが、祭りの夜はまだまだ踊れる。(上本町 大阪)


お盆は毎年恒例釜ヶ崎夏祭り。これが今年1番の写真かもしれない。
BEN DAVISのキャップをかぶったBEN DAVISのゴリラそっくりの、アユを食べるおじいさん。


もしスーパーモデルがこの格好をしていた写真ならば
テリー・リチャードソンが撮ったと思うに違いない。やっぱり釜ヶ崎夏祭りはハズレがない。


街路樹でなくセミをみつけては傘の先端で潰しにかかる老人がいた。
東京はミンミンゼミで趣があるのだが
大阪はアブラセミかクマゼミでとてもノイジーなのである。(上本町 大阪)


甲子園球場帰りの阪神ファン。その後ろ姿で試合の結果がわかる。
一時期首位にもなったタイガースは後半失速した。(梅田 大阪)




昼飯の場所に迷う両親が立ち止まるごとに、ふりかぶって第一球を投げる少年。
今年のプロ野球はなんといっても楽天の田中将大。ピッチャーに憧れる少年は増えただろう。


8月20日 第二子が生まれる。病院到着から30分の超安産であった。


まるで近くの今宮戎からえべっさんがやってきたかのような都築さん、新世界にやってくる。
9月より連載スタート。




まだまだ残暑は続く。


9月下旬、iPhone 5s 発売。買いたてのiPhone 5s を鼻を伸ばして触る男。



10月中旬、例年より早く寒波が到来。
こたつを早速物色する男がホームセンターにいた。
まずは敷き布団を選ぶ。


すぐに選んで次へ移動。


掛け布団だ。


最後にこたつ本体。


本体だけは特に時間をかけて選び


レジへと並ぶ。その間およそ10分、非常にスピーディーなこたつの購入である。(天王寺)


今度は別の女がこたつを持ち帰っていた。(天王寺)


世界を席巻するチャイナパワー。大阪でもその力は衰えを知らない。
ソース焼きそば1つをまるで中華料理の大皿料理のようにみんなでつつく中国人観光客。
焼きそば屋も割り箸を多く要求されて困ったに違いない。(大阪城)


これだけまっすぐなモノを久しぶりに見た気がする。(大阪城)


11月、20年に1度の遷宮を終えたばかりの伊勢神宮へと参拝する。(山田 三重)




伊勢神宮は例年にない参拝客と例年にないおばはんを迎えた。(宇治 三重)


そして、街はクリスマスムードである。
恋とキリスト教に縁がない人にはどうでもいい時期である。(堂島 大阪)




ラーメン屋でもクリスマス。 (十三 大阪)


年忘れの季節だ。靴底についたガムにイチョウの葉がくっついているところがまた素晴らしい。
(梅田 大阪)

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以上『隙ある風景 ROADSIDERS' remix 2013』でした。
いつもこんな感じでボリュームたっぷりで書いてます。

なんだかんだと色々ありましたが、なんだかかんだでいい年でした。
来年もまたよろしくお願いいたします。それではよいお年を。

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