2018年1月3日水曜日

釜ヶ崎の食  その2


よりディープな方へと行ってみよう。
まずは沖縄料理の「おかん」。
沖縄出身のこの女将がやっている。
釜ヶ崎のど真ん中でやってきただけあってめちゃくちゃパワフル。



名物は沖縄そば。味はもう沖縄現地の味。
本土の沖縄料理は本土の人間が好む味にあわせているが
これはもうそのまんま。沖縄の名もなき食堂の味である。




中はカウンターが8席ほど。
みんな昼間から飲んでカラオケをしている。


さとうきび畑の仕事がイヤで 15歳の時に沖縄から大阪にきたおっちゃん。
まだ沖縄返還前で当時はパスポートが必要だったと語る。

 歌っているのは沖縄の歌。


カウンターの端ではおばちゃんが泥酔して泣き崩れていて、女将に慰められている。
まだ昼の12時である。


混乱を極める店内で歌われるには「釜ヶ崎人情」。
まだ昼の12時である。



続いて、あいりんセンターの3階にある食堂へ。

 早朝4時ぐらいから開いている。

 朝5時の時点で人が結構いる。

 目当てのかやくご飯は5時半でもう売り切れだった。




仕方がないので、インスタントラーメンといなり寿司のセットを食べた。
これで460円。寝起きでこのボリュームはきつい。頼みすぎた。

かやくごはんを撮影しておかなくてはならず
どうしようと思っていたら、となりの店ではまだあった。

かやくご飯とお味噌汁のセット。味はやさしくおいしい。
何よりこのカウンターの奥行きに驚きだ。
小さな茶碗分しかない。まあこれで事は足りる。


それにしてもこの値段の刻み

釜ヶ崎のソウルフードはだんご汁だ。
ここも早朝から8時ぐらいまでしか開いていない。



味噌汁の中にすいとんのような小麦粉を固めた団子がある。




みんな路上で食べている。
インドのデリーの路上で早朝飲んだチャイととても似た感覚。
旅情が激しい。ここは日本なのだろうか。


究極の釜ヶ崎の食といえば炊き出しである。
まずは四角公園というところで行われている炊き出しに行ってみた。

具も何もない、ただのおかゆ。
食べられるのかと不安だったが、酒粕で味つけられており、とてもうまい。

1杯目を食べながら2杯目の列に並ぶがコツ。
ここは毎日11時から食事が配られる。
一般人でもただ並んで食事をもらうだけなら大丈夫とのこと。



教会でも食料が配布されるとのことで行ってみた。
まずは神父の話を聴く。


みんな黙って聴いている。
信者の人もいれば、食料目当ての人もいる。


1時間ほどの話をきくとパンが数切れもらえた。
隣に座っていたおっちゃんが「キムラヤのパンでおいしいで」と。
確かに、普通にうまかった。



この日は別の場所からも神父が来ていて、
手作りのクッキーとお弁当と巻き寿司までもらった。
これだけ配布されるのはなかなかラッキーとのこと。

もう1つの炊き出しが三角公園の炊き出しである。
行けばすでにかなりの列ができていた。

最後尾はこの札を持つ仕組み。
ぼくも持ってみた。釜ヶ崎のおっちゃんになれたようでうれしかった。

ぼくが並んだ後も列はだんだんとふくらみ500人ぐらいはいただろう。
生活保護の給付金が少なくなってくる月末ほど増えるという。
毎週火曜日と土曜日の昼に行われる。

ご飯の上に野菜たっぷりの味噌汁がぶっかけられている。
ホルモンが数切れあるのが釜ヶ崎風。

もらうとその場ですぐにおっちゃんたちは食っている。


以上、釜ヶ崎の食である。
どれもこれもおいしくて安かった。中には無料のものもある。

釜ヶ崎の飲食店は入れ替わりが激しい。
最近できた店がすぐにつぶれたりする。
高い店だと入れないし、安い店は炊き出しに負ける。
安くてうまい店出ないと生き残れない。
今回紹介したお店はどこも数十年と続いているお店。
だから本当にいい店なのである。

ライトコースは、「やまき」や「マルフク」でホルモンをつまむ、
「難波屋」で飲む、「鍋屋」でがっつり食うあたりがおすすめである。
これなら女性1人でも行けなくはない。
ディープコースは、労働者のリズムにあわせて食事をする1日。
早朝起きて、あいりんセンターの食堂や、だんご汁屋で朝食を摂り、
昼は炊き出しに並んで、夜はホルモンを肴に飲んで近所の安宿に泊まる。
ちょっと女性にはおすすめできないが
男性はできるだけ労働者っぽい格好で行って欲しい。

ここでは紹介していないお店はROADSIDERS' weeklyにまだあるので
興味をそそられた方はぜひご購読いただきたい。
他の記事もとてもおもしろいのでぜひ。




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